2018-05-01から1ヶ月間の記事一覧

人生問題

30歳目前のキャリア女性が、公私ともに、行き詰まりを感じて、仕事をやめて、仮住まいをしたアパートの住人に託された日記から、もう一つの人生を知る。 『29歳問題』(香港、キーレン=パン)は、典型的な転機ドラマだが、しゃれた映像が、人生のワクワク感を…

魔法の楽園

モーテル暮らしで家もないし、母親もだらしないが、陰で見守る管理人にも助けられ、少女は、他の貧しい子どもたちと楽しく過ごす。 疑似ユートピアも長くは続かない。母から引き離され、よその家に預けられようとした少女が、脱走して、向かった場所は……。 …

庭から宇宙

庭の木々や虫たちも愉快だし、訪れる人間たちも、面白い人ばかりだ。 『モリのいる場所』(日本、沖田修一)は、画家本人が家の外へ出なくても、変化に富む作りになっている。居心地のいい箱庭世界が、宇宙にもつながるという遊びもある。

タクシー野郎

光州事件のさなか、現地に潜入した外国人ジャーナリストと、彼を送り届けたタクシー運転手。二人の活躍がなければ、軍による民衆の制圧が明るみになることもなく、もっと多くの死傷者が出たろう。 『タクシー運転手 約束は海を越えて』(韓国、チャン=フン…

9条の石碑

憲法9条を記した記念の石碑は、沖縄の七つのほか、本州に11ある。(伊藤千尋「「9条の碑」を歩く」――『週刊金曜日』5月11日号) 条文公布の意義、建立への思い……。なおざりにすべきではない。

風景画の刺激

風景画は、想像の刺激剤だ。 描かれていない景色や空気までも、連想させる。

記憶の記録

イスラエルに暮らす兄弟の家族。仲睦まじい一家だが、ポーランド出身の兄弟には、ユダヤ人収容所時代のいまわしい記憶があった。教師が聞き出そうとするが、兄弟の態度は対照的だ。兄は、どこまでも口をつぐみ、弟は、やむなく重い口を開く。いつかは、伝え…

イタコ同士

イタコを訪ねたる女と、イタコとの奇妙なやり取り。 渡辺源四郎商店『いたこといたろう』(ザ・スズナリ)は、二人だけの芝居ながら、シリアスと笑いが二転三転、最後まで緊迫感が途切れな い。 互いの口寄せから、死者の声が生きている者を力づける。

アクセスカウンター