2014-05-01から1ヶ月間の記事一覧

家族

何の衝突もない幸福な家庭ほど嘘くさく、問題をかかえる家庭ほど、真実味がある。 『ぼくたちの家族』(日本、石井裕也)は、母の難病発覚をきっかけに、一家の思いがけぬ秘密が明るみになる。 両親の借金、長男の引きこもり、若夫婦の溝……。 それでも家族の…

角川映画とは何か

成功もあれば失敗もあった。批判もあったが、いわゆる角川映画が映画界のシステムを一変させ、観客に魅力を与えたのは事実だろう。 中川右介『角川映画1976−1986 日本を変えた10年』(KADOKAWA/角川マガジンズ)は、黄金期の魅力を振り返…

名匠の冒険

今日において言いたいこと、手法としてできること……。映画でできることは多様だが、すべてを詰め込めばいいというわけではない。あるいは、協力者全員に配慮すればいいというわけではない。 映画の出来を問うならば、以上のような自覚が必要だが、そのことを…

接近する小説

平野 僕が思い描いている小説的なるものの話をすると、一個人から始まって、どこかで一般性や普遍性、つまり赤の他人であるにもかかわらず、読者がなぜか共感してしまうというところに向かって開かれていかないと、小説にならないと思うんですね。自分から遠…

日常と狂気

娘を誘拐された父ができることは、自力で関係者の口を割らせることだ。 『プリズナーズ』(米国、ドゥニ・ビルヌーブ)の拷問を肯定はできないが、否定もできまい。娘の行方が消えてから日数が過ぎ、警察も頼りにならない状態では、やむを得ない手段だった。…

転落者

『ブルージャスミン』(米国、ウッディ・アレン)のヒロインは、自己都合のふるまいで身内を不幸に陥れ、理想と行動のギャップによって、転落していく。 勘違いセレブの転落に同情はできないが、嫌悪もできない。 ヒロインは、遠い他者ではないのだ。

心地いい部屋

『ビフォア・サンセット』(米国、リチャード・リンクレイア)では、小説の宣伝でパリを訪れた米国人男性が、フランス人女性と再会。出発時間を遅らせて彼女の自宅を訪れる。 室内は、あちこちの壁に写真が貼られ、食器や雑貨など、たくさんの物が置かれてい…

人のエネルギー

ザ・スパイダースの曲に登場する活力旺盛の老婆。渡辺源四郎商店『エレクトリックおばあちゃん』(ザ・スズナリ)でカバーされているのは、精神を患った哀しい人間だ。電気人間として地元に電気を供給し、社会に貢献しているつもりだが、すべて妄想であり、…

すべてアート

『アンディ・ウォーホル展:永遠の15分』(森美術館)では、彼が収集した書簡や雑誌・贈り物などが公開されている。タイムカプセルと自称して、段ボール箱に入れて保管していたものだ。価値は当人にしかわからないが、発想のヒントにもなったのだろう。 アー…

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