2010-03-01から1ヶ月間の記事一覧

中年の恋愛

若年と違い、様々な荷物を背負っている中年は、直情的な恋愛の成就が難しい。一つ一つの行動に、不自然に見えない理由と手続きが必要であり、引き際のタイミングも心得ていなければならない。 こうしたハードルを設けることなく、ご都合主義的に作られたドラ…

世代

ドラマ『シューシャインボーイ』(テレビ東京、浅田次郎・原作、鎌田敏夫・脚本)では、元帰還兵の靴磨き、戦災孤児だったオーナー社長、戦後生まれで元銀行員のおかかえ運転手という三人の異なる世代が、対立しつつ、触れ合う。 前の世代を意識しつつ、次の世…

一瞬先

爆弾にふっとばされる事態こそないが、一瞬先がどうなるかわからないという点では、戦場も生活現場も同じであろう。 爆発物処理にあたる『ハート・ロッカー』(米国、キャスリン・ビグロー)の兵士たちの緊張感は、我々にとっても、他人事ではないのである。

刑事も人間

現代の日本では、警察官が不祥事を働けば、たちまち新聞沙汰。すぐに批判対象になる。 『バッド・ルーテナント』(米国、ヴェルナー・ヘルツォーク)の刑事は、勤務中も薬物を常用し、売人からも薬を搾取。まさに悪徳刑事だが、捜査員としては有能。精神の弱…

センスとスパイス

夫婦それぞれに愛人ができるという話を、どろどろの愛憎劇にしてしまうと、ありがちな凡庸ドラマになるが、さすがに矢崎仁司。 『スイートリトルライズ』(日本)は、センスのいい映像と小道具の選択によって、心地よい環境音楽のような仕上がりにしている。…

なぜ読むか

作家にとって、小説を読んで収穫があるとは、そこにある手法や、様式や、構想力を自分のものにしたいとの欲望が生まれ、実際自分のものにすべく努力を促されることを意味する。早い話が真似をしたくなるわけである。 これは真似ができるかどうかはまた別問題…

罪は犯しても…

やむにやまれぬ理由で不法行為をする場合もある。 『フローズン・リバー』(米国、コートニー・ハント)の二人の母親は、まさにそうだ。 密入国者を車のトランクに入れ、凍った川を通って、国境を越える。 夫に逃げられた女と、義母に赤ん坊を奪われた女。も…

後味

さえない営業マンの田西敏行も、彼が恋慕を寄せる同僚のちはるも、自分の思惑とずれた行動を取ってしまうために、不幸を招く。田西は勝算のない決闘で負傷し、ちはるはライバル業者の男にもてあそばれて妊娠中絶をするのである。 『ボーイズ・オン・ザ・ラン…

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