2007-10-01から1ヶ月間の記事一覧

それは正しいのか?

ふつうの棋士は、それまで言われているとおりの打ち方だけしかしないのだが、とびきり強い棋士は必ず価値観を変える打ち方をする。勝つために必要な道順の選び方や、形勢判断の仕方を身につけてみんなプロになるのだが、ふつうの棋士は「それが正しい」と思…

オリジナル

異質なものを混ぜると意外な味が生まれる。 「日曜ナントカ学」(朝日新聞28日『be on Sunday』)によれば、麦茶・牛乳・砂糖を混合すると、コーヒー牛乳。ホットミルクにたくあんを加えれば、コーンスープになるそうだ。 素材が違っても、組み合わせ次第で…

余白

見開きのキャンバスが床上に立っている。白色とクリーム色。右上と左下に淡い黒の四角形が小さく描かれている。韓国のアーティスト、李禹煥の作品『correspondance』だ。 李は「余白の美学」について語っている。 「……描くことと描かないことが組み合わさっ…

表現スタイル

伝統的な表現スタイルに甘んじるほうが、たやすいし、無難である。しかし、それでは、新しいものがなにも生まれない。新陳代謝がなければ、伝統もまた、廃れるだろう。 だれもが小津の作風の特徴として挙げる「ローアングル」は、最初はハリウッド流のモダニ…

幸福な一日

たとえば、朝目が覚めたら 犬の顔が隣にあって寝息がきこえて、 起きたらいいお天気で、 いっぱい洗濯して掃除して、バルコニーの植木に水をやり、 公園をゆっくり散歩して、 帰ったらお茶を入れて本を読む。 適度に仕事も進み、 夜は親しい友人たちとごはん…

愛の鞭

日本では輝ける知的エリート集団として伝説的に語り伝えられている旧制の第一高等学校の寮の伝統に〈鉄拳制裁〉なるものがあったそうで、学校の名誉を汚した者の頭を殴ることが〈愛の鞭〉であると知的エリートも思い、民衆もこれに毒されていた。(佐藤忠男…

気楽社会

労働時間にも格差がある。 年間労働時間の国際比較(2004年)を見ると、アメリカは1948時間、そして日本が1996時間となっているのに対して、ドイツは1525時間、フランスは1538時間と400時間の格差がついています。……年間の有給休暇は日本が8日、アメリカは13…

リピーター

店にはたくさんの客がやってくる。その十人に一人が「なかなかよい店だな。気に入った。また来よう」と思ってくれればそれでいい。十人のうちの一人がリピーターになってくれれば、経営は成り立っていく。……しかしその「一人」には確実に、とことん気に入っ…

使徒

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』(日本、庵野秀明)で、14歳のシンジは、自分をいじめた同級生を使徒の襲撃から救う。そのおかげで同級生に見直され、戦闘の際にも励まされる。 これほど都合よくいじめが解消できるのかという疑問が湧くが、ともかく使徒と…

旅の入口

就職試験の面接で、自分はガンジス河でバタフライをしたと口にしてしまった女子大生が、有言実行とばかりにインドへ渡る。ドラマ『ガンジス河でバタフライ』(監督・李闘士男、脚本・宮藤官九郎)は、こんなストーリーだ。 彼女は道中でさまざまな文化ギャッ…

安全保障

改憲論の争点となっている「安全保障」とは、なにか。 独協大の古関彰一教授(憲法史)が、『週刊金曜日』10月5日号のインタビュー(『「美しい国」よ、サヨウナラ!』)で、述べている。 英国の『オックスフォード大辞典』では、「危険にさらされることなく…

たそがれる

『めがね』(日本、荻上直子)の舞台は、南の海辺の小さな町。観光スポットもない町で旅人ができるのは、たそがれることだけだった。 宿屋の主人と共に、泊り客は浜辺のベンチに座り、エメラルド色の海をながめる。ジョッキでビールを飲みながら、ただながめ…

リラクゼーション

『明るい瞳』(フランス、ジェローム=ボネル)では、独り身のフランス人女性がドイツの森へ行き、きこりの青年の小屋に泊まる。外に置かれた風呂桶に裸で浸かり、太陽の光を浴びながら目をつぶる。 ここには、彼女といがみあう兄夫婦もいないし、彼女をから…

クリエイター

深く考えないで見られるお気楽なものをテレビに求める視聴者が多くなった。暗い内容の番組もあるが、すべてわかり易く創ってある。多くの視聴者が、テレビはじっくり見るものではなく、ボーっと見ていても結論を導き出してくれるものだと思っているからだ。…

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