気楽社会

mukuku2007-10-17

 労働時間にも格差がある。

 年間労働時間の国際比較(2004年)を見ると、アメリカは1948時間、そして日本が1996時間となっているのに対して、ドイツは1525時間、フランスは1538時間と400時間の格差がついています。……年間の有給休暇は日本が8日、アメリカは13日に対して、フランスは25日、ドイツは31日です。ヨーロッパは完全週休二日制なのでフランスで25日有給休暇が取られているということは、1ヶ月のバカンスを取ったうえに、さらに有給を取っているということ。……残業もほとんどしません。(森永卓郎『年収崩壊』角川SSC新書

 ヨーロッパの労働時間が少ないのはなぜか。ワークシェアリング(限られた雇用機会を労働時間の短縮によって分かち合う)という考え方が主流であること、長時間労働を好むのでなく人生をいかに楽しむかに真剣であることを、森永氏が理由として挙げている。
 反面、所得は低くなる。

 ヨーロッパのサラリーマンの年収は300万円程度です。ただ、彼らはそれ以上を望んでいません。年収300万円あれば十分に暮らしていけるからです。また、貴族支配の階級社会が続いたことによって、ヨーロッパの一般庶民は、上昇志向そのものを失ってしまいました。いくら努力しても貴族にはなれないからです。

 アメリカンドリーム的なものを目指すのも、野心的な人によってはいい。しかし、そうした人は、周りがほうっておいても、自らそうした場所を見つけて、チャレンジするだろう。大多数の人間が望むのは、上昇志向を義務付けられる社会ではなく、もっとゆるやかな環境なのである。

 パリのカフェには、カフェオレ1杯頼んだだけでなにもせず、テラスでただ道行く人を眺めている中高年がたくさんいます。実はそうした時間の使い方こそが、最高のぜいたくなのです。

 
 

 
  
 

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