戦前の島

 先人が苦労して開墾した島が、要塞基地として利用され、武器や弾薬庫が配備される。装備が整うほど、敵に狙われる可能性は高くなるが、国の指令の下、抗議が認められる余地はない。若者で呼びかけて始まった住民投票も許可されなかった。町長は推進が島のためになると強行し、自衛隊員も従う。島にとどまる人々は、いずれは、かつてのように命を落とすことになると、危惧を口にする。

『戦雲(いくさふむ)』(日本、三上智恵)は悪夢が繰り返される一方、自衛隊員や町長を交えて、島民が楽しむ船の大会や祭も映している。立場を超えた触れ合いが可能なのは、一線を越える前までである。

         

 

アクセスカウンター