アートの役割

 世界的な写真家、ナン・ゴールディンのキャリアを追うだけでも映画になるだろうが、『美と殺戮のすべて』(米国、ローラ・ポイトラス)は、大勢の死者を出した鎮痛剤をめぐって、彼女が製薬会社を追及する姿をも映している。同性愛、薬物中毒者など、少数派の生き様を写し続ける彼女にとっては、当然の行動だった。多額の寄付を受けていた各国の美術館に抗議し、自身の展示品のある館でさえ、例外としなかった。

 活躍の場を失いかねない行動だったが、彼女の勇気は認められた。多数の美術館が、該当企業をスポンサーから外したのだ。美術館も、アートの役割を理解していた。

    

 

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