2008-09-01から1ヶ月間の記事一覧

地球に優しい産業か?

鋼鉄のスーツを身につけてテロと戦う男。『アイアンマン』(米国、ジョン・ファヴロー)のトニー・スタークは、兵器製造会社の経営者だ。自社の兵器が民間人の殺戮に使われていたことを反省し、スーツを平和利用したのである。 自社の事業が結果として、どう…

聖と俗

可愛らしさと不気味さ、愛情と残酷。アネット・メサジェのぬいぐるみアートには、人間らしい相反する世界が混在する。(『アネット・メサジェ:聖と俗の使者たち』六本木・森美術館)

音の記憶

砂の上に炭の山が置かれ、後方の窓から樹木が見える。 水滴の音が聞こえる。 わたしたちの耳には、いま聞こえている音以上のものが聞こえているのだろうか。 (『ダニ・カラヴァン展』世田谷美術館)

物語を語るとき

大人が寝床で子どもに物語を聞かせるとき、子どもの反応を見ながら、自在に変えるだろう。どんな展開になるかは、語り手の気分が反映する。登場人物たちを殺さないでと、子どもに泣きつかれたら、まともな語り手ほど、結末を語るのに、ちゅうちょするだろう。…

死人ホーム

孫原と彭禹の共同作品『老人ホーム』では、車椅子に乗った老人たちが、床の上を動き、衝突する。 作り物なのに、老人の肌のしわも染みも、実物さながらの精巧さだ。 彼らは、なにがあっても、決して目を覚まさない。この老人ホームには、死者しかいないのだ…

書く楽しみ

家で一人でプロットを練ったり、脚本を書いている時、やっぱり自分は脚本家なんだなあと、しみじみ思う。 物語を作ること、台詞を考えることが、ひたすら楽しい。(「三谷幸喜のありふれた生活」朝日新聞9月19日朝刊) 舞台・映画・ドラマの脚本を同時並行で…

道楽者

芸術家は尊敬しない。芸術家であること自体に感謝せいと思う。水汲みに二十キロ近く歩く家族にアートなんか関係ない。アートって生活があって初めて成り立つ。先進国で芸術に携わって生きていけるのは幸せに決まってる。この道楽者っ、だな。(北野武談・日…

ばい菌音楽

「J-POPの世界は、CMなどとタイアップできるか、ラジオでかかりやすいかが大事にされ、ネガティブな言葉は避けられがち。でも僕はえげつない歌詞を書く。それでしか伝わらない人間の弱みみたいなものがある。抗菌・除菌されたものばかりじゃダメなんですよ」…

日常への復帰

より多くの黒人が、より危険な前線に送り出されたように、エスキモーやインディアンの若者たちもまた同じ運命をたどった。ベトナム戦争で五万八一三二人の米兵が命を落としたが、戦後、その三倍にも及ぶ約十五万人のベトナム帰還兵が自殺していることはあま…

産め産めと言うけれど

PTSD、心的外傷後ストレス障害とかいうものが流行して久しいが、妊娠出産育児にそれを応用する精神分析かなにかは、あるのか知らん。あって当然と思うなあ。あれって「自我」のある人間にとっては、凄惨きわまりない経験でしょう。(中山千夏「リブらんか…

創造の余地

しばしば「いままで作ってこられた映画のなかで、どれがいちばん好きですか?」という質問をされます。これは愚問だと思うんですよね。ものを作ることに関係している人間にとっては、いまやっているやつがいちばんおもしろいに決まっているじゃないですか。…

職業監督

映画は、無料でできるわけではない。自費だけでまかなえるものでもない。それだけに、興行成績が重視されるのだが、コンスタントに映画を撮れる監督は、作家性と商業性のバランスをうまく維持している。 「作家性の強い作品を撮り続けたいなら、絶対損をして…

強さ

阪神・赤星は、甲子園で敗戦につながる失策を繰り返し、地元大学の受験にも失敗。プロ入り後も挫折を繰り返したが、克服して一流の成績を挙げた。 高校時代の監督が感心している。 「本当に強い人間とは負けないのではなく、負けるたびに立ち上がり、苦い経…

引き出しを壊す

どうしても俳優は、これで食えるという引き出しだけで芝居をするようになりますが、それは質の高さではないのです。たとえばベテランと呼ばれる年代になっても、新しい一つの役に立ち向かうときには新人とまったく同じ取り組み方を目指し、なるべく今までに…

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