2010-08-01から1ヶ月間の記事一覧

自殺は罪か

『カラフル』(日本、原恵一)では、自殺した中学三年生が人生をやり直す。嫌っていた家族や学校仲間が、彼を大事に思っていたことを知り、自殺が罪だったと悟る。 感動を覚えつつも、ちょっと待てよと感じる観客がいるかもしれない。 母の不倫、女友達の援…

指南の裏側

リメイク版『ベスト・キッド』(米国・中国、ハラルド・ズワルト) は、武術指南者を日本人から中国人に変えている。米国人少年にカンフーを教える重要な役だが、米国の経済事情が反映されているのだろう。 オリジナル版製作の1984年当時、米国にとって重要な…

ある教室

『パリ20区、僕たちのクラス』(フランス、ローラン・カンテ)は、中学教師と生徒の対立を、まるでドキュメンタリーかのようなリアルさで描く。 移民たちの子供は、フランス人教師にことごとく反抗的であり、敬意のカケラもない。保護者ともども、辛らつな…

間は大事だなって思うのは、料理番組でさ、最近多いのが、変なねえちゃんが……。料理がくるまでポカーンとしてたり、店の中いろんなとこ見てたり、水飲んだり、ワインちょっとのんだりして、その間があればうまく見えると思うんだよね、出てきた料理が。でも…

喜劇!

学校を首にされ、夫は記憶を失い、妻は片足を切断。あげくは、火事で家をなくし、二人は離れ離れに……。 悲劇にしかなりえないような『ルンバ!』(ベルギー・フランス、ドミニク・アベル、フィオナ・ゴードン、ブルーノ・ロミ)だが、それをほのぼのとしたも…

どん底に落ちても

金が乏しく、宿もない。働く気力もない。母と二人で、あちこち借金をしては、住処を転々とし、どんどん弱っていく。 『のけ者』(エマニュエル・ボーヴ、渋谷豊・訳、白水社)は、悲惨な話なのに、なぜか微笑ましい。 どん底に落ちても、開き直ってしまえば、明…

死刑の許容

千葉法相発言と各紙報道には「死刑囚の中に冤罪の人がいるのではないか」との視点がない。 (浅野健一「人権とメディア」『週刊金曜日』5日号) 『BOX 袴田事件 命とは』(日本、高橋伴明)は、袴田巌の死刑判決に加担した主任判事・熊本典道が、冤罪立証に…

物語の崩壊

書道、神話、カルト宗教。野田地図『ザ・キャラクター』(東京芸術劇場)では、別個に見えたものが、時代を超えて結合する。 ある事件をモチーフにしても、ただ刺激することにはしたくなかったから、別の物語に変えて残せば消えにくいかもしれないと思って。…

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