2014-11-01から1ヶ月間の記事一覧

子どもたちの世界

エーリヒ・ケストナー『どうぶつ会議』(岩波書店)では、人間の会議のふがいなさにあきれ果てた動物たちが、世界中から集まって緊急会議を開催。政治家が言うことを聞かないので、やむなく、人間の子どもたち全員を隠してしまう。子どもを返すことを条件と…

劇画と色彩

劇画家・辰巳ヨシヒロの半生と短篇。 『TATSUMI』(シンガポール、エリック・クー)は、辰巳の実生活と空想を融合させた異色アニメだ。 古風でありながらスタイリッシュな作画が、斬新な色彩で画面に創造される。

好人物の魅力

アパートの住人に慕われる福ちゃんこと、福田辰男。女嫌いは、少年時代のトラウマが原因だった……。 『福福荘の福ちゃん』(日本・イギリス・台湾・イタリア・ドイツ、藤田容介)は、傷を背負いつつ、新たな可能性を導き出す人間たちの世界を優しく見つめてい…

時間は止まらない

ドキュメンタリータッチでリアルタイムで撮られた少年の6歳から18歳まで。 異色映画『6才のボクが、大人になるまで。』(米国、リチャード・リンクレイター)は、少年の周辺で父母は何度もパートナーを変えている。 環境が変わり、悪友にひきずられることが…

急ぐ前に

小説家が、よい作品を書き続けられるのは、せいぜい20年ほどだと言われている。これは、なぜか作品数ではなく年数だ。それを考えれば、自分の人生のどの部分を切り取るか、じっくりと考えてほしい。(伊東潤「急がず焦らず」『日本経済新聞』13日夕刊) デビ…

老人たち

『0.5ミリ』(日本、安藤桃子)のヒロインは、神であり、悪魔である。老人の弱みを握って接近し、幸福とも不幸とも言えない結末に導く。 彼女の手にかかるのは、エゴ丸出しの老人たち。ひどく滑稽でありながら、ひどくリアルな者ばかりだ。

やさしい人々

『やさしい人』(フランス、ギョーム・ブラック)は、シビアな設定だ。 落ち目のミュージシャン、マクシムにとって、唯一の希望は若い恋人と過ごす時間だった。ところが、最愛の彼女にも裏切られてしまう。帰郷した実家では、男やもめの父が恋に趣味にと毎日…

異文化の料理

『マダム・マロリーと魔法のスパイス』(米国、ラッセ・ハルストレム)とのタイトルでも、中心はマダムと対決するインド人一家。フランス人料理店のオーナーたる彼女を向かい側のスパイス料理店で脅かす。 食材の争奪戦や上げ足取りで戦争状態の両店だが、放…

アクセスカウンター