2013-07-01から1ヶ月間の記事一覧

語りの対象

「ほんとうの戦争の話」の、ある意味でもっとも優れた、ある意味でもっとも嫌われる、またある意味でもっとも大切な語り手が「戦後(戦争)文学」の作者たちであることは、間違いないだろう。 彼らは、語るべきことばを持たない人たちの「代理人」であることを…

表現の歴史

手法や考え方は皆違う。マネをする必要はないが、彼らの試行錯誤を知ることは、新しい表現法を生むために大いに役立つはずだ。(樋口真嗣「特撮黄金期の担い手たち 「国宝級」技術者の肉声を記録、次の時代へつなぐ」『日本経済新聞』15日) 試行錯誤の歴史…

作ること

『作るんじゃなかった』という気持ちは分かりますが、作らなかったら、もっとつまらない人生だったと思います。映画の中でも言いましたが、飛行機は『美しくも呪われた夢』です。(宮崎駿「インタビュー 零戦設計者の夢」『朝日新聞』20日) 人間は間違える…

個人の居場所

おそらくはあらゆるくくりから「はぐれている」個人としては、こういう個人が個人であることをあきらめないでいられる世界、みだりに殺されない世界であるといいと。これは要望というより祈りのようなものかもしれません。(黒田夏子「はぐれた個人の居場所…

最初の人間

「最初の人間」とは、民族や伝統にこだわらず、ゼロから人生を切りひらく人間だ。たのむのは神や歴史ではない。その身で享受した世界の美しさを信じ、人間を襲うあらゆる暴力的なものに抗しながら、最後まで生きることの意味を問い続けた。(宮本茂頼「はじ…

観察日記

自分を取り巻く世界を冷徹に観察し、生き物実験を持続する少女。 フィクションとドキュメンタリーを混在させた『タリウム少女の毒殺日記』(日本、土屋豊)は、カルチャー雑誌のように雑多な素材が、見る者の思考を触発する。 過度に感情的でもないし、身近…

大人と子ども

政策の失敗も原発事故の被害でさえも忘れられたかのように、昔ながらのやり方で行なわれる選挙。 『選挙2』(日本・米国、想田和弘)では、大人たちの言い分で動かされる世界の傍らで、子どもだけが異なる思考で動き回っている。 そこに、未来がある。

不死身の英雄

自由の圧殺者に抵抗する者ならば、暴力的な無法者でも英雄視される。 禁酒法時代に密造酒で儲けたボンデュラント3兄弟は、『欲望のバージニア』(米国、ジョン・ヒルコート)で西部劇張りのヒーローとして描かれている。 不死身伝説を付与された彼らとて、命…

選挙を控えて

選挙の立候補者全員が、大々的に報道されるわけではない。 メディアで取り上げられるのは、著名人か、後ろ盾のある一部の候補者に限られ、選挙の世界でも、格差は厳然と存在する。 ドキュメンタリー『映画「立候補」』(日本、藤岡利充)で奮闘する異色の立…

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