2012-08-01から1ヶ月間の記事一覧
遺骨を郷里の海へまいてほしい。 亡き妻の手紙をもとに、車で旅する男。 富山から長崎まで。道中で知り合う人間にも、それぞれ事情がある。 目新しさはないが、好感の持てる『あなたへ』(日本、降旗康男)。 構成も脇役も、主役を引き立てている。 あなたと…
そもそも僕は、自分が読みたいと思う漫画を、ほかの誰も書いてくれないから、じゃあ自分で描こう、と思ってやってきました。そして、あまりほかの人が描いたことのないジャンルに挑戦してきました。(藤子 不二雄A『78歳いまだまんが道を』中央公論新社) …
豪邸に住む一家は、暴君的な父以外、塀の外に出ることはなかった。 家のなかでは、特異なしきたりに基づいて、妻や息子、娘たちが、暮らしていた。 外の世界に出るのは危険だ。 父の教えによって守られた世界は、よその女が家に来たときに一変する。 『籠の…
山下 現場の代表としてどうしても気になったというか言っておきたかったのが、ネットで読める西村さんの日記にあった映画版に対する批判的な言葉についてですが、投書プレスなどでは好意的だった誉め言葉や態度をガラッと一変させたのは不可解で、東映サイド…
バレー部のキャプテン。成績も優秀な桐島。突然の退部で、ガールフレンドも連絡が取れない。 彼がいないことで、校内の人間関係が微妙に崩れていく。 『桐島、部活やめるってよ』(日本、吉田大八)は、 不在の人間が及ぼすきしみを、演劇的な構成によって、…
亡き母の霊を意識しつつも、少女の前に母が姿を現すことはない。 『聴こえてる、ふりをしただけ 』(日本、今泉かおり)は、ホラーのようでホラーではない。 11歳の少女が、心に変調を来す父や、他人のペースを乱す転校生、神経質な友人に悩みながら、自分の…
伝え聞くわずかなイメージだけで、とらえられるほど、アラブは単一ではない。 『アラブ・エクスプレス展』(森美術館)では、ステレオタイプなイメージを意識しつつ、イメージを逆手にとった多彩な作品が、展示されている。 戦争を語るまいとして、戦争に触…
『セブン・デイズ・イン・ハバナ』(フランス・スペイン、ベニチオ・デル・トロ、パブロ・トラペロ、フリオ・メデム、エリア・スレイマン、ギャスパー・ノエ、フアン・カルロス・タビオ、ローラン・カンテ)は、国籍雑多、7人の監督によって語られるアンソロ…
足を引きづり、マスクをはがされるブルース・ウェインこと、バットマン。キャット・ウーマンには指紋を取られ、警察には追われ……。 『ダークナイト ライジング』(米国、クリストファー・ノーラン)では、それでも再起して、強靭なマスク男と対決する。 悪の…