だれかに見守られて


 亡き母の霊を意識しつつも、少女の前に母が姿を現すことはない。
『聴こえてる、ふりをしただけ 』(日本、今泉かおり)は、ホラーのようでホラーではない。
 11歳の少女が、心に変調を来す父や、他人のペースを乱す転校生、神経質な友人に悩みながら、自分の生き方をつかむ。
 母に頼らずとも、母の教えを守る。枯れた花を咲かせ、大勢の友人を家に招く。
 彼女は、きっとだれかに見守られている。

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