2013-12-01から1ヶ月間の記事一覧

祭典

僕は今回のオリンピック招致を分析するとき、最大のポイントは主にソーシャルメディア上において「オリンピックで国民が一つになる」という物語に乗れない層、こうした物語に嘘くささを感じ、誘致反対を表明する層の存在が大きく可視化されていることにある…

教育する演劇

就活向けのキャリア教育が優先される現在の大学に、劇作家の平田オリザは疑義を唱える。 「多くの場合、成功体験を振りかざすオヤジの説教話を聞かされるだけに終わる。現場ではそれは通用しないよ、と。様々な夢を持つ若者に、人生を閉じるような教育をして…

浮遊する世界

チェルフィッチュ『地面と床』(神奈川芸術劇場)では、パフォーマンス・音楽・セリフそれぞれが、突出するのではなく、共生しながら、世界を演出する。3カ国語の字幕でさえ、ワキ方の役割を担っており、同時に批評対象でもある。 幽霊となった母の前で、勝ち…

法廷という場

法廷のやり取りでクセモノぞろいの人間がだましあう『リーガルハイ』(フジテレビ、古沢良太・脚本)。ドラマ的誇張を多用しながらも、普遍的なヒューマン喜劇である。 駆け引きの裏には真剣さがあり、本音の衝突のあとには爽快感を残す。各々が敗北しても、…

生命の倫理

3D技法で宇宙の浮遊感をリアルに表現する『ゼロ・グラビティ』(米国、アルフォンソ・キュアロン)。技法を超え、見る者の脳裏に生命の根源をも刻み込む。 スペースシャトルの事故で宇宙空間に投げされた女性飛行士が、犠牲となった同僚飛行士のメッセージに…

古典劇

古典劇にすぎないと思われた「竹取物語」が、いかに現代性と普遍性を備えていたか。 『かぐや姫の物語』(日本、高畑勲)は、一見、シンプルな物語と絵を通じて、人の生と死、あの世とこの世の往来を、深くまで描き出している。

運命

戦時の不条理で別れ別れになった父と娘。戦争3部作の完結編『遥かなる勝利へ』(ロシア、ニキータ・ミハルコフ)で、二人がようやく再会を果たすが、もはや悲劇は避けられない。 単なる戦争や政治ドラマを超え、人間の力だけではどうしようもない運命を描いた…

謝罪

謝罪を求めるのはどんなときか。お詫びに何を求めるか。 立場や場合によって、大きく異なる。 食い違いを知るのが、コミュニケーションであり、謝罪の機会なのだ。 セクハラ事件から国交問題まで、お詫びをめぐって人々が右往左往する『謝罪の王様』(日本、…

高齢化社会

NHK『終の住処はどこに〜老人漂流社会』、『"認知症800万人"時代"助けて"と言えない孤立する認知症高齢者』では、心身が弱っても、財力の乏しさから、まともな生活を送れない老人たちの姿を映し出す。 施設に入れず、短期間で居場所を変え、思い出の詰ま…

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