教育する演劇


 就活向けのキャリア教育が優先される現在の大学に、劇作家の平田オリザは疑義を唱える。

「多くの場合、成功体験を振りかざすオヤジの説教話を聞かされるだけに終わる。現場ではそれは通用しないよ、と。様々な夢を持つ若者に、人生を閉じるような教育をしている。就職に役立たない、就職するかどうか迷わせるような教育こそが本来の教養教育だろう。……」(「辛言直言」『日本経済新聞』12月19日朝刊)

 特定の型に従うことばかりが、人生ではない。それどころか、型が変わったり、型に裏切られるのが、現場である。限られた体験では到底見極められるものではないのだ。
 演劇は、得体の知れない進路に向けても心を開く。舞台で導き出される思考訓練は、まさに教育なのである。

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