2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧

9月29日 映画と音 映画的経験とは音の体感に他ならないが、観客が音そのものを意識することは少ない。『ようこそ映画音響の世界へ』(米国、ミッジ・コスティン)は、音の制作や歴史を細部まで紹介。音の形成過程を知れば、映画の見方は間違いなく変わる。

芸術としてのアニメ

『マロナの幻想的な物語り』(ルーマニア・フランス・ベルギー、アンカ・ダミアン)の雌犬は、混血を嫌われ、産まれてすぐ、飼い主から捨てられる。以来、曲芸師や建設作業員、少女などのもとで飼われるが、移り気な飼い主の下では、どこもしばらくいては、…

名演奏のように

舞台が米国最大の音楽フェスティバルとはいえ、あるいは、ルイ・アームストロング、セロニアス・モンク、チャック・ベリー、マヘリア・ジャクソンなど、伝説のミュージシャンが勢ぞろいしたとはいえ、それだけならば、あまたある音楽映像の一つにおさまるだ…

拾うべきもの

「れいわ新選組」の候補者で目立つのは、投手の山本太郎だけではなかった。女性装の大学教授をはじめ、派遣労働者のシングルマザー、コンビニの元オーナー、自然保護の運動家………。出自は千差万別だ。数と力の論理からは脱落する声を拾えるのが、政治の場だっ…

青春という枠組み

「欅坂46」の2軍的位置づけだった「日向坂46」の躍進。作られた枠組みでの発展とはいえ、道のりや葛藤は、アイドルたちの心の内では決して虚像でない。信じたからこそのめりこめるし、信じなければ、わざわざアイドルになろうは思わないだろう。ドキュメンタ…

ジャーナリストとは何か

第2次大戦前、唯一繁栄を続けたソ連。『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』(ポーランド・イギリス・ウクライナ、アグニェシュカ・ホランド)では、若きジャーナリストが妨害に屈せず、隠された姿を明かす。極寒の雪原で目にしたのは、飢えに苦しむ民衆だ。…

濃密な愛

あまりにも感情過多がゆえに、人前はばからず、極端にふるまう妻。精神病院に入ってからも、彼女が彼女でなくなることを悔いた夫は、退院後の妻に本来の姿を取り戻すよう要求する。 『こわれゆく女』(米国、ジョン・カサベテス)では、執拗に長い場面を連ね…

核抑止の決断

『ジョーンの秘密』(英国、トレバー・ナン)の老女が、若かりし日に手掛けたことには、相応の使命感があった。スパイ容疑で逮捕された彼女は、核兵器開発機関で働いていたときに機密を知る立場にあった。米国の核政策を抑止するとすれば、ソ連が同等の技術…

見えない恐怖

暴君のような男が女に遺産を残して自殺する。ところが、彼が動いている痕跡が次々発覚。彼女は、生涯、おびえ続けなければいけないのか。 特殊スーツを使った実態があらわになる後半よりも、『透明人間』(米国、リー・ワネル)は、姿がまったく見えない前半…

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