2012-12-01から1ヶ月間の記事一覧
子ども時代のポスター画を、大人のひねりとデフォルメによって、ブラックユーモアに満ちた風刺画に仕立てた「ポスター」。作者の生誕以降に就任した多数の首相の顔写真が画面に映し出される「ゲームの国」……。 会田誠のアートは、悪意と遊び心に満ちている。…
元AV女優にして漫画家の卯月妙子。慢性的な自傷癖と妄想症。ついには、歩道橋から飛び降りる。 生還後、鏡に映っていたのは、片目が骨ごとずれ、鼻筋がなくなり、まっ平になった顔だった。 地の底まで落ちれば、これ以上落ちることはない。あとは這い上が…
サンタクロースがいるのか、いないのか。 人は、彼の存在をまるっきり信じるわけでもなければ、まるっきり信じないわけでもない。 青年団『サンタクロース会議』(こまばアゴラ劇場)は、虚構と人間の距離感を軽妙に描いている。
「演劇人の入り込み」が出来たら、そこに途中で「失速」しないで続けたら、演劇は演劇となるのである。このような、いわば「運動神経だけで書く戯曲」というものを、私は最近めざしている。(別役実『ことばの創りかた――現代演劇ひろい文』論創社) 運動が続…
自作について、元になる体験を得々と語り、読解の枠組みとして提示したがる作家は、ほとんどの場合、それ以上の物ではないと考えるべきでしょう。(佐藤亜紀『小説のストラテジー』ちくま文庫) 多様な読みを可能とする作品は、書き手自身が素材の広がりを信…
職場でも家庭でもさえない男が、伝説の小人探しをきっかけに、周囲を変化させる。 連続ドラマ『ゴーイングマイホーム』(フジテレビ系)の脚本と演出は、是枝裕和。誇張や衝撃性に頼ることなく、夢を託せる世界に観る者を引き込む。 毎回披露される料理も楽…
単純なスパイアクションは成立しない現代。 『007 スカイフォール』(米国、サム・メンデス)では、女指導者のMを母のように扱いながら、ボンドと敵が対決する。 この路線が続くわけではない。Mは死に、次のMが誕生する。 後任は男だ。
娘夫婦と両親。各々別れて、新しいパートナーとの生活を夢見るが、明暗は分かれる。 『恋のロンドン狂騒曲』(米国・スペイン)は、ウディ・アレンらしく、教訓を交えた悲喜劇。 とはいえ、いかなる失敗や困苦がもたらされようとも、自分流を貫き、進んで受…