2015-08-01から1ヶ月間の記事一覧

活動の源

『戦後70年 「一番電車が走った」』(NHK総合)は、原爆投下後、路面電車を復旧させるために、作業に奔走した電鉄社員と、運転を任された少女の実録ドラマだ。 市内が焼け野原になっても復興に向け、すぐさま活動できたのは、再度の原爆投下がない、日本…

哀しい人類

死は滑稽で、生きることは哀れ。 『さよなら、人類』(スウェーデン・ノルウェー・フランス・ドイツ、ロイ・アンダーソン)は、さえないセールスマン・コンビが奇妙な人間たちと遭遇する寸劇集だ。 どの場面もシュールなだけではない。セールスマンの聞く歌…

記憶をつなぐ

『波伝谷に生きる人びと』(日本、我妻和樹)は、震災前の漁村で暮らした人々の姿を撮影した貴重な映像だ。 失われた物を記録し、記憶を現在へとつなぐ映画。 被写体となった人々のうち、災害で犠牲になった者もいるが、残された者は、今もなお生き続け、村…

生物のもたらすもの

CG技術の進歩で『ジュラシック・ワールド』(米国、コリン・トレボロウ)の恐竜たちは、よりリアルにスクリーンを闊歩する。 実際にテーマパークで観覧しているかのような楽しさとスリルを味わえるが、恐竜が逃走したとなると、話は別だ。 科学技術が発展…

戦場のホラー

手足がちぎれ、血流を噴出させ、人肉をむさぼり食う戦地の日常は、ホラーそのものである。 決して平穏ではない戦場の実態を映像化した塚本晋也『野火』(日本)は、大岡昇平の原作小説とは異なる次元での怖さがある。

言葉と絵

凡庸であるが故の意地と気力。 『ヨーコさんの“言葉”』(講談社)は、佐野洋子の力強い言葉を、北村裕花の絵が引き立てている。

作家の姿勢

不特定多数の質問に村上春樹が返信する『村上さんのところ』(新潮社)では、一見、小説とは無関係な質疑応答においても、小説の作法や構造が語られている。 いかなる場でも、村上の作家としての姿勢は、一貫しているのだ。

映画の素材

だって面白いことばっかりじゃないですか、この世の中。映画の素材なんて、無尽蔵にある気がするんですけどね。僕なんか、何を見ても映画に見えちゃう。(想田和弘『カメラを持て、町へ出よう 「観察映画」論』集英社インターナショナル) 独特な素材と斬新…

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