2024-05-01から1ヶ月間の記事一覧

旅のように

奈良の集落。咲は、旅館の娘だが、母は父と別居し、義父も姿を消す。『霧の淵』(日本、村瀬大智)は、人とのやり取りや自然の光景だけをひたすら映している。光を見つめ、音に耳をすませば、同地で過ごしているかのような心地よさを味わえるだろう。

工場と農村

長江のデルタ地域にある子ども服の縫製工場。家族経営の小さな作業場で働く若者たちの日常には、都市部では見えない生活や経済問題が凝縮されている。現代音楽をBGMにして、『青春』(フランス・ルクセンブルク・オランダ、ワン・ビン)が記録した他愛ないや…

戦前の島

先人が苦労して開墾した島が、要塞基地として利用され、武器や弾薬庫が配備される。装備が整うほど、敵に狙われる可能性は高くなるが、国の指令の下、抗議が認められる余地はない。若者で呼びかけて始まった住民投票も許可されなかった。町長は推進が島のた…

欠陥だらけでも

亡き父の好きな料理をするためにチキンを手に入れようとして、大騒動。娘はおてんばで、母は不器用。伯母や警官、運転手も欠陥だらけの人ばかりだが、『リンダはチキンがたべたい!』(フランス、キアラ・マルタ、セバスチャン・ローデンバック)は、鮮明な…

アートの役割

世界的な写真家、ナン・ゴールディンのキャリアを追うだけでも映画になるだろうが、『美と殺戮のすべて』(米国、ローラ・ポイトラス)は、大勢の死者を出した鎮痛剤をめぐって、彼女が製薬会社を追及する姿をも映している。同性愛、薬物中毒者など、少数派…

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