2023-08-01から1ヶ月間の記事一覧

母と娘、そして

娘たちの前で、果物を切る。かつて住んでいた家を訪ねると、物が放置されたままだ。 亡き夫の遺品や命を絶った長女のフィルムを前に、心境を語るジェーン・バーキン。娘のシャルロット・ゲンズブールが監督した『ジェーンとシャルロット』(フランス)では、…

院内のようでいて 

テレビドラマをつないだものだが、劇場で見れば、3編合計で15時間を超える。夢遊病患者が、病院の呪いを解こうとする最終編『キングダム エクソダス〈脱出〉』(デンマーク、ラース・フォン・トリアー)には、旧作を踏襲する人物や、その親族もいる。ほとん…

構成の妙

クリスマス前夜までのロンドンで進行する複数の物語。カップルのタイプがそれぞれ違い、しゃれっ気があっても、羽目を外しすぎることはない。亀裂しそうな夫婦のエピソードも交えて、アクセントをつけ、クライマックスではカップル同士が遭遇する。『ラブ・…

現代アートの開放性

現代アートという枠組みがなければ、火薬を使ったドローイングやパフォーマンスは、単なる奇行と受け止められて終わるかもしれない。『蔡國強 宇宙遊 ―〈原初火球〉から始まる』(新国立美術館)が、時空を超えて広がるのは、アートという開放的なジャンルの…

絵画の風景

『デイヴィッド・ホックニー展』(東京都現代美術館)の展示品の中でも、ひときわ目立つのが、ノルマンディーの風景だ。写真や映像とは違う色合いと鮮明さ。絵としての心地よさがある。

多面的

オートバイによる崖からの落下がクライマックスかと思いきや、最後は車両ごとに落ちていく列車から脱出する。『ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE』(米国、クリストファー=マッカリー)は、年齢を感じさせぬトム・クルーズの身体能力…

作風

架空の経営者を仕立てて、責任を押し付けてきたIT企業の実質経営者は、身売りを進めるため、売れない役者を社長に仕立てて、交渉する。内情を知らない役者は、従業員に情がわいて、身売りをとん挫させようとするが……。 『ボス・オブ・イット・オール』(デン…

美術館の事情

展示品の買い付け、運搬、状態維持、予算の仕組み……。欧米美術館のドキュメンタリーにおいて、あまり取り上げられなかった裏事情が、『わたしたちの国立西洋美術館』(日本、大墻敦)で紹介される。企画のち密な準備や、館員や運送業者の真摯な活動を知れば…

AIと人間

意味を理解せぬまま、わかったようにふるまう。間違いもある。今井むつみ×川添愛『わかりたいひととわかっているふりをするAI』(『世界』7月号)では、チャットGPTの問題点が指摘されている。 AIの使い方には個々の力が試されるだろうし、どう使うかを問う…

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