譲らないもの

山下 現場の代表としてどうしても気になったというか言っておきたかったのが、ネットで読める西村さんの日記にあった映画版に対する批判的な言葉についてですが、投書プレスなどでは好意的だった誉め言葉や態度をガラッと一変させたのは不可解で、東映サイドと何があったのかは知りませんが、正直とっても腹立たしく感じました。……

西村 原作者は、見てつまらなかった映画をどこまでも褒めなきゃいけないとでもいうんですか? それこそ僕としてはよほど腹立たしい。美点のみを挙げた一文をプレスやメディアに寄せているのは、そこがあくまでも映画の宣伝の為に用意された場だからです。
西村賢太山下敦弘対談「苦役列車――「青春の落伍者」を乗せて」『新潮』8月号)

 映画版『苦役列車』をめぐり、原作者も監督も譲らない。
 表現者としては、望ましい態度である。

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