幸福な一日

mukuku2007-10-21

 たとえば、朝目が覚めたら
 犬の顔が隣にあって寝息がきこえて、
 起きたらいいお天気で、
 いっぱい洗濯して掃除して、バルコニーの植木に水をやり、
 公園をゆっくり散歩して、
 帰ったらお茶を入れて本を読む。
 適度に仕事も進み、
 夜は親しい友人たちとごはんを食べて、
 お酒飲んで、おしゃべりして、
 帰ったらお風呂に入って
 眠る。そういうのが幸福な気がする。
                  (吉野朔美『本を読む兄、読まぬ兄』本の雑誌社

 漫画家の吉野は、「幸福な一日」(小タイトル)をこう定義する。
 このエッセイ漫画には続きがある。
 目が覚めると、快適な朝のはずが、そうではなかった。
 枕の横で愛犬が尻を向けて寝ていて、胃液を吐く。自身も飲みすぎて、もうお昼である。洗濯も掃除もやっていない。
 テレビドラマの再放送を見ているうちに時間が過ぎ、開き直って愛犬と散歩する。原稿も書かないうちに、もう夜である。

 思っているよりも一日は短く
 幸福な日は少ない。

 毎日はハプニングと無駄の連続。だからこそ、愛しい。

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