それは正しいのか?

mukuku2007-10-31

 ふつうの棋士は、それまで言われているとおりの打ち方だけしかしないのだが、とびきり強い棋士は必ず価値観を変える打ち方をする。勝つために必要な道順の選び方や、形勢判断の仕方を身につけてみんなプロになるのだが、ふつうの棋士は「それが正しい」と思って打ちつづけてしまう。しかし、とびきり強い棋士はそれまで正しいとされていた道順や形成判断それ自体を疑う。
保坂和志『「三十歳までなんか生きるな」と思っていた』草思社

 既成の価値観や規則に基づいて行動する限り、面白みがないし、自分の存在意義も感じられないだろう。一人の人間が、他に代えがたい人間、つまりその人自身であり続けるためには、自分ならではの道順や判断を見つけ出す以外にない。
 カーナビに頼って活動するのは楽だが、ものごとの根源的な発見を放棄することになる。

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