釈放の代償

   異国の刑務所に収容された娘を冤罪を立証するため、米国人の父親が渡欧。なりふりかまわぬやり方で、真犯人を監禁し、鑑定の材料を手に入れる。

   マット・デイモンが演じるとはいえ、『スティルウォーター』(米国、トム・マッカーシー)の父親は、強靭な肉体を持つわけでもなければ、明晰な頭脳を誇るわけではない。繊細な感情を持つ肉体労働者だ。等身大の市民とも言うべき彼が、慣れぬ土地で振り回されながら、娘の釈放を果たすものの、強引なやり口で手に入れただけに、代償もあった。親しくなった母子には監禁を知られて絶縁され、釈放された娘からも本当は罪に加担していたことを明かされる。結末は晴れやかでないが、そのことでサスペンスの重みが維持できたとも言えよう。

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