アニメ映画『河童のクゥと夏休み』(日本、原恵一)の少年は、河童のクゥを宅急便で沖縄に配送する。コンビニの店員に宅配の箱を渡したあと、店の外に座る。クゥが去るのを見届けようと、配達車を待つ。
やがて、道路の向こうの空が赤くなる。夕焼けだ。
車が止まった。配達員が店内に入る。荷物をかかえて、荷台に運ぶ。積荷を終え、早足で運転席に向かう。車が発車する。
クゥは去ったのだ。少年が走って追いかける。
配達員の動きにさえ、少年の心象風景が反映されている。こうした場面にコマを費やせるのが、映画なのである。