映画『天然コケッコー』の脚本を担当した渡辺あやは、原作者くらもちふさこの大ファンだった。その思いをプログラムに綴っている。
最高にすてきなことは、最悪に退屈な自分の日常のすぐ隣にひそんでいるのかもしれない、と想像してみる練習を、私はくらもちさんの作品を読むことによって、自然に繰り返させて頂いてきたように思います。
ヒトの知性とは、おそらくそういうことにためにあり、私の思う文化とは、誰かのそれを一緒に盛り上げるお手伝いをするものです。
作品の舞台となった学校は生徒が少なく、やがては廃校となるだろう。いつか消えていく小さなできごとを一つ一つすくい上げ、紙やフィルムに刻む行為だけが、かろうじて記憶を継承させるのである。