才能の選択


 絵を商売としか考えていない夫と違い、妻は絵が人格そのものだった。ゴーストぺインターとして、娘にも内緒で夫の代わりに絵を描き続け、大人気になったマーガレット・キーンは、ある日のラジオ放送で、真実を明らかにする。
『ビック・アイズ』(米国、ティム・バートン)は、アーティストの思いをあらわにすると共に、画才がないゆえに商業魂でブームを巻き起こした夫の哀しい性にも、思いを寄せている。夫の悲劇は、絵を描けないにもかかわらず、芸術家たらんとしたことだった。腕利きの画商に徹していれば、妻との決裂も、生活の没落もなかったのだ。
 才能の対象は人それぞれ。才能の選択を誤れば、たちまち落とし穴にはまることになる。

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