精神

mukuku2009-06-14

 カメラに向けて話をしているときは、さほど異常性を感じさせない。ドキュメンタリー『精神』(米国・日本、想田和弘)の精神病患者たちだ。
 ところが、人前に出ていないときに多量の薬を飲んだり、深夜などに激しく精神を変調させるという。元気そうに見えた患者たちの何人かは、撮影後、しばらくして自殺したそうだ。
 正常なのか、異常なのか。生きたいのか、死にたいのか。
 ラストシーンで、自分は無免許だと電話口で怒鳴りながら、電話を終えてからバイクで去っていく男を含め、彼らの行動は、安易に理解できるものではない。
 考えてみれば、当然のことだ。そもそも人間は、それほど明快な存在ではない。自分自身でさえ、わからないものだ。
 そのことに寛容でないと、精神の乱調に耐えられなくなるのだろう。
 
 
 

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