抵抗と創造

 ……社会生活を営むということは、自分の中に社会ができるということだから、書いている最中、その眼が「こんなものは小説と言わない」とつぶやいてくる。それは絶えず誰にでも、ぼくにもある。だけど、小説を書ける人には、自分が面白いと思うことをやり通せば、きっと誰かがおもしろいと言うだろうという、信念を越えた楽観がある。(保坂和志「自分の読者を見つける」――『早稲田文学』夏号)

 創造は、これは、このジャンルではないという固定観念への抵抗から、生まれるのである。

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