自分だけの文章


 ブコウスキーの本は、義母の趣味には、まったく合わなかった。だが、彼女の世界とは、かけ離れた世界を映し出すことに、彼は燃えたのだ。

 わたしはそういう自分だけの文章を生み出すためにじめじめとして薄ら寒い洞窟のような部屋で心を惑わせることなく忠実に作業を続けたのだ。彼女に深いだと受け取られ、わたしはそのことが立証されたと思った。(チャールズ・ブコウスキー中川五郎:訳『ワインの染みがついたノートからの断片』青土社

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