青春の逃走


俺たちに明日はない』(米国、アーサー・ペン)は、ただの犯罪映画ではない。
 不能の男、町を出たいと願う女。退屈な生活からの脱出を欲している者同士だが、安定した生活や家族への思慕は消えていない。
 銀行強盗を働いて道を踏み外したが故に、逃走生活から抜けられず、破滅へと突き進んでいく若いカップルの青春。見守る庶民は、銀行や警察への鬱屈感を彼らの反抗に託している。
 のどかな農村を舞台に流れる音楽は軽快で、軽やかゆえに哀愁を帯びるのだ。

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