フィクションの力

mukuku2007-06-24

 かつてフィクションの根底には、現実とつながりつつ、現実を越える世界観があった。劇団、本谷有希子の演劇『ファイナルファンタジックスーパーノーフラット』で展開される戯画的空間に、記号を越えるものがあるだろうか。
 漫画オタクの青年が、ネットを通じて女たちを集め、死んだ恋人そっくりの格好をさせる。集まった女たちの正体は、決して清純でない。病気、借金、創作の行き詰まり……。俗まみれの女たちに青年のユートピア幻想が敗北する。
 青年の敗因は、創り上げたフィクションにリアリティーがないからだ。
 リアルなフィクションは、現実を無視しないし、現実に屈しない。人をもっと本質的なものに目覚めさせるのである。
 

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