相対化

mukuku2008-04-13

 ポツドール『顔よ』(本多劇場)では、顔にコンプレックスのある男女のやり取りが舞台上で同時進行する。顔半分を負傷した女、頬が荒れている男、醜女……。異性を前にコンプレックスを抱く彼女たちのこだわりは、他人に優越感を持てるか否かである。
 彼女たちだけではない。友人や家族も、いかに相手より優位に立てるかに神経を遣う。人をほめたり、あるいは本音を隠すことも、すべて、自分が傷つくこと避けるためか、相手を見下していることの隠蔽でしかない。
 というのが、作品世界の前提だ。
 現実を知る者は、反論するだろう。人間はそれだけではない、そこまでひどくはない、と。
 ポツドール流リアリズム劇の効果である。人間の嫌な部分を相対化する視点を観客に招来するのだ。  

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