純愛の完結

『海辺の生と死』(日本、越川道夫)は、島尾敏雄・ミホ夫妻の小説と現実を混ぜ合わせた世界である。特攻による死を控えた若き隊長と、自決の準備をしていた島の女。二人の純愛は、戦時中に完結していた。戦後の夫婦生活は当時の幻影を追い求めるだけにすぎず、辛辣な日常が続いたのは、必然だったのである。

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