真実の日記


 第2次世界大戦末期、母から農園の祖母に預けられ、まともな食事を与えられることもなく、こきつかわれる兄弟。彼らを包囲するのは、兵士や村人の暴力と死だ。
悪童日記』(ドイツ・ハンガリー、ヤーノシュ・サース)は、兄弟の残酷な日常を美しい映像で鮮明にする。俗人の信仰、見せかけの平和、上っ面の家族愛……。すべてが、なんの安らぎももたらしはしない。わずかな優しさを与えられても、人間たちの裏に潜む冷淡さを兄弟は見抜くのだ。
 家族や知人がどれほど葬られ、自身がどれほど鉄拳を浴びせられようとも、兄弟は生き続ける。真実を日記に書くために。

 

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