夢も希望もないようでいて…

mukuku2008-06-15

 高校を卒業して以降、就職どころかアルバイトさえしたことがなく、大学、専門学校、予備校などへ通いもせず、つまり何もしていないと呼ぶ以外にない状態が長く続いた。……焦りや不安といったものは、一切覚えたことがない。なんとなく、この先どうなるんだろうか、とぼんやり想像することはあっても、明日は雨が降るんだろうか、という程度の感覚であって、とても危機感などとは呼べない。……友人は一人もいないし出かけなくてはならない用事もない。(田中慎弥「夢も希望もないから」―朝日新聞4日朝刊)

 先を気にせずに生きて行けたのは、恵まれた環境にいたからとも言えよう。だが、ここまで開き直ることができる人間ならば、他者や社会をうらやんでの犯罪などは、起こさずにすむかもしれない。
 

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