骨の持ち主

 米軍基地用の埋めに立てに使われようとしているガマの土には、いまだに遺骨が眠っている。手榴弾火炎放射器によって散乱し、泥にまみれた骨をすべて掘り返して遺族に戻すのは、容易なことではない。『骨を掘る男』(日本、奥間勝也)は、自力で骨を掘り、収集する男の姿を追う。

 戦争の犠牲者は平時の遺骨と違い。丁重な儀式で葬られるわけではない。骨の持ち主が誰で、どのような最期を遂げたかは想像するしかない。

『平和の礎』に刻まれた各国の人々の名を読み上げるプロジェクトがある。彫る男もまた、親族の名を読み上げて、悼む。

     

 

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