生きている実感

 ピカソ手塚治虫は、時代に取り残されることが怖くて、日々休まずに描いていたわけではない。生きることは、描くこと、表現していることが、生きることだったからこそ、休む必要がなかったのだ。生きている実感のためにどうしても描き続けなくてはならない衝動をもった作家は一生、だれの批判を食らおうと全く気にもせずに、どんどん進化してゆく。(園子音「ガガガの地平」『ダヴィンチ』4月号)

 園自身、多作だが、作品の出来うんぬんよりも、込められた野心や意欲的な試みが、観客をひきつけるタイプの映画監督である。
 完成度を求めて立ち止まった途端に、作家としての生命は途絶える。作家の死は、肉体の死によって訪れるのではない。創造欲の停滞で始まるのである。

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