成育


 少子化の現在、子どもという獣のような生き物の育て方を、若い親たちが実際に見る機会も、減っている。本を読むだけでわかるわけでもない。
 若くして二人の子を産み育てることになった花も、ひどく苦労した。オオカミの血を引く子どもは、人間の子と性質が違うのだ。
おおかみこどもの雨と雪』(日本、細田守)は、大学で孤立気味の花が、狼男と恋をし、都会から田舎に移り住んで子どもを育て、成長した子どもの進路を見届けるまでの物語である。
 自然と文明の混在する現実と折り合いを付けつつ、どう生きるか。子どもの成育は、花という一人の女性の成育でもあった。

 

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