現代の若者は不幸なのか? 日本という国がなくなったら困るのか?
古市憲寿『絶望の国の幸福な若者たち』(講談社)は、巷にあふれる若者論・国家論の盲点をあぶりだす。
僕には「日本が終わる」と焦る人の気持ちがわからないし、「日本が終る? だから何?」と思ってしまうのだ。歴史が教えてくれるように、人はどんな状況でも、意外と生き延びていくことができる。
現代や将来の不幸を嘆く者には、いかにも昔がよかったかのような錯覚がある。時間の経過と共に、いやな思い出や苦しい体験を忘れ、いいことだけを記憶に残して酔いしれるでのある。
昔に不満があったからこそ、今日の変化がある。そのことを忘れてはなるまい。
若者が今を幸福に思うとしたら、これから先、環境が悪くなることしか、考えられないからでもある。
どうなっても大丈夫と、気分では言えるかもしれない。しかし、気分だけでは生きられない。
生活力にも、個人差がある。