世界があるために

 新聞に載った小さな記事や日常の出来事に、外からは予想もつかない大きな記憶が蘇る人がいるということだ。人それぞれが持つ時間の厚みが世界の凹凸や濃淡となる。人間が存在するかぎり世界は決して均質でのっぺりしたものにはならない。
 (保坂和志「私の収穫 過去の近さ・遠さ」『朝日新聞』11日夕刊)

 世界があるためには、人間が存在し、記憶が継承されなければならない。

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