小説のプロセス

 文学にせよ、祈りにせよ、いったん言葉にした途端に何かが違ってしまい「ウソ」になってしまうことを敏感にとらえていた。
 小島信夫さんや保坂和志さんと同じように、結果がわかるものや答えが出る小説は書かなかった。行き先を決めずにバスに乗ってしまうように、成り行き任せに、より道をして、すぐには解けないことを考え続けながら書いていた。(浦田憲治「忘れがたき文士たち 田中小実昌」『日本経済新聞』12日)

 永遠のプロセスによって、小説は書かれる。

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