負けの輝き

 ネット用の動画を編集した『アンダードッグ』(日本、武正晴)は、長尺ながら、どの場面も印象的だ。

 元日本ランク一位ながら、今ではすっかり精彩を欠き、妻子とは別居し、デリヘル運転手として生計を立てる男。それでも彼に挑みたい者たちはいた。売れないお笑い芸人は、捨て身で挑戦し、最終ラウンドまで持ち込む。失明を避けるため、最後の試合となる若手ボクサーも、少年時代からの目標だった彼を指名し、容赦なく打ち合う。

 勝つことでなく、負け方によって輝くというのが、日本流のボクシングドラマ。どの映像も濃密に作りこまれ、スタッフやキャストの思い入れが伝わってくる。

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