レミングたち

 7月17日 

 道路の渋滞も海辺の混雑も、考えてみれば異常なことだったのだろう。心身を害しないことのほうが、よほどおかしかったのだ。

   筒井康隆『幸福の限界』(『おれに関する噂』新潮文庫所収)には、幸福ごっこに酔いしれる家族が、人で一杯の海で泳ぐうちにおぼれ死んでいく。「死の後進の末に溺れていくレミングたちが、過剰反応をくいとめて自然のバランスを元へ戻そうなどという意図を持たないのと同様、おれの頭にも、人類の異常な繁栄、異常な平和、異常な幸福といったものへの反省はなかった」

                   f:id:mukuku:20200725082606j:plain

 

アクセスカウンター