復讐がもたらすもの

 息子を殺された男が、西部開拓期の荒野を這いつくばって、仇を追う。
『レヴェナント 蘇えりし者』(米国、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ )は、男の執念を圧倒的な映像で見せつける。
 主眼とするのは、強靭な精神でも、頑健な肉体でもない。罪びとをだれが裁くかという神への問いであり、失われた者が決して蘇らないという命の尊さである。
 復讐を成し遂げても、男がついに得られなかったものがある。
 その仕打ちは、先住民の命を奪った開拓者への制裁を意味するのだろう。

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