「ひろゆきに論破されてみた件」)『新潮』9月号)では、文筆家の綿野恵太氏が、実体験をもとに、昨今もてはやされる会話術を解析している。
教養や責任感と意図的に距離を置く人間が、相手を型にはめ、共感の材料を見せ、逃げ道を用意しつつ、瞬間的なやり取りで優位に立とうとする。何かを生みだすわけではない。コミュニケーションというよりも、一定の指示層に向けた芸と言える。
地味な活動を愚直に続けたり、パフォーマンスの内実にこだわる人は、見栄えの点では、劣るかもしれない。だが、要領と信頼度が一致するとは、限らない。