武力と外交

「武力を何のために持つのかというと、それは主として他の国と喧嘩をするときのためでしょう。もし喧嘩するような相手がいるのであれば、喧嘩をする前に、まずはどうしたら仲良くできるのか考えてみたらいい」

 靖国問題の根底にある戦争被害の認識、アヘン戦争以前の大国復活、自衛のための軍備増強、台湾統一の立場……。元首相・福田康夫がインタビュー『習近平の中国とどう向き合うか』(『世界』2月号)で述べた見解は、いずれも現実的であるがゆえに、目配りの効いた指南になっている。

  外交の必要性を説く福田氏は、ロシアとウクライナを両国の指導者による外交の失敗とし、「外交というのは、仲良くすると同時に、危機を防ぐという役割も持っているのです」と、述べている。一回戦争で被害に遭い、再戦の動機を持つ中国に対し、日本がどのようにふるまうべきなのか。結びで福田氏が主張していることは、あえて記さなくても、自明であろう。

                     

 

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