幸福な仮想社会

 ネット社会は、批判されがちだが、時空を超えた関係を描き続ける細田守は、一貫して擁護する。『竜とそばかすの姫』(日本)では、内向きな女子高生が、ネットの世界に活動の場を広げることで、歌姫としての自分を見出し、まったく面識のなかった遠い地の少年の手助けにも、協力できるのである。

 ネット自体は、完結の場ではない。彼女だって、声を出したり、電車に乗ったりという、肉体を使うことで、物事を進展させるのだから。ここでは、仮想世界と現実世界が、幸福な出会いを果たしている。ツールの進歩を続けることで地球環境を生き抜いた人間の英知を、忘れるべきではない。

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