個人的な戦争

 遺作にして異色作。雑文でもあり、映像実験でもある。
『海辺の映画館』(日本)は、故郷・尾道の古びた映画館を舞台に、大林宜彦が変遷する商業映画のスタイルを活用しつつ、戊辰戦争から原爆投下前夜までの戦争の歴史をたどる。

 戦争のとらえ方は、監督個人のものであり、全貌や複雑な力関係を描こうなどとは思ってもいない。ただ、思い入れの強さや見栄えにこだわらぬ破天荒さが、異様なエネルギーとなって、観る者に刺さるのである。

                   f:id:mukuku:20200823092817j:plain

 

アクセスカウンター