犠牲者の記録

 新聞社勤務時代に反右派闘争に巻き込まれ、苦難の人生を歩んだ鳳鳴。『鳳鳴(フォンミン) 中国の記憶』(フランス・中国、ワン・ビン)は、名誉回復までの30年をよどみなく証言する彼女の姿を3時間、照明や位置を微妙に変えながらも、ひたすら映し続ける。壮絶な体験と歴史の迫力が、見るものに迫る。

 夫を失い、職を奪われ、自由に生きることを阻害された半生。少数の犠牲者は、記録がない限り、歴史の片隅に埋もれてしまうものである。記録者にできることは、彼女たちが確かに生きていたこと、レールを外された人生を歩んでいたことを、消滅させずに残しておくことだ。

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